第1話 惨劇の館

決して訪れてはいけない。ご自由に続けてくださ~い!


「どうやら道に迷ったみたいね」
「このクソ暑さだ。野宿なんてできやしない……もうちょっと歩いてみよう。どこかに家があるかも知れない」

 テキサスの荒れ果てた荒野の片田舎で、二人のカップルは道に迷い猛暑のなかで途方にくれた。彼の愛車のバンが、旅の途中でエンストを起こしたせいだ。一寸先は蜃気楼で目が眩みはじめた。

「お腹がすいたわ、ダーリン」
「がまんしろ、あともう少しの辛抱だ」

 二人は黙って歩きつづけた。

 しばらくして、彼女が甲高い声をあげた。「あれを見て」
「よし、運がいいぞ」

 遠くに一軒の館が見えたのだ。
 外観はボロボロだったが意外に大きかった。
 二人は足が棒のように疲れ果てていたが、必死にその館へと向かった。

「ごめんくださぁ~い」彼女はくり返して叫んだ。「どなたかいませんかぁ~?」

 何度もドアをノックしたが、返事はなかった。

「人が住んでいないのかしら?」
「かまわん――なかに入ろう」

 ドアノブをひねると簡単に開いた。
 古びたドアの蝶番の軋む音が不気味に鳴り響く。
 二人はおそるおそる部屋のなかを歩きまわった。
 テレビもラジオもなかった。
 生活感ゼロ。
 部屋のなかはゴミ屋敷と化しており、天井から得体の知れないものが何本もぶら下がっていた。
 もしかして、繋がったままのソーセージか――?
 彼は怪訝そうな表情で首を傾げた。

「なんという館なの……薄気味悪いわ……」
「でも、野宿するよりマシだ。もう少し調べてみよう」

 台所に二人が向かいかけた時、どこからともなく匂いがただよってきた。

「おい、この匂いはなんだ?」
「肉をあぶったような匂いだわ」

 その匂いは二人の空腹を刺激するどころか、吐き気をもよおすほど不快な感じがする匂いだった。

「へんな部屋だな」彼は鼻をつまんだ。「気味が悪くなってきた」
「もう出ましょうよ!」

 彼女は青ざめた顔のまま彼の肩をゆすった。


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ぼっち

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