ソウマはいさかいの真ん中に躊躇せずに入っていった。
「やめろよ! 」
彼の声が周囲に響き渡る。男はそれに気付いた。
「ああっ、なんだてめーは! 」
そう言って男はソウマに殴りかかった。ソウマは一度はかわしたものの、隙を突かれて放たれたもう一発が腹に命中して数メートル投げ飛ばされた。ソウマは地面に倒れこむ。
「駆動モーターと人工骨を少し損傷、あと腹部に穴が貫通か…… 」
ソウマが自分の体の損傷具合を呟く。男は無言で尚もソウマへの攻撃を続けた。今度は顔面を殴られて、中の人工筋肉が剥き出しになりかけて、眼球も損傷した。
「殴ってるあいつ、どうかしてる…… 」
「これ、警察を呼ぶべきじゃね」
あたり一帯は騒然となった。少女はというとソウマが殴られている様子を見て怯えていた。彼女は間違いなく怯えていた。だけど彼女の顔は、どこか、覚悟を決めた様なそんな表情に変わっていった。
「やめて! 」
少女はそう叫んで、ラジカセを手に取って電源を入れた。すると、ラジカセのデッキが展開し、中からナノサイズの部品で構成された短剣がコンマ五秒で生成された。
「あああ!! 」
彼女はそれを手に取るなり叫びながら男に飛びかかり、男の腕に切り傷をつけた。
「ぐああ!!! 」
男の腕から、血と切れた回路が出てきた。男は深傷を負ったらしく、すぐにその場を離れていった。
やはりソウマがあまり強くない、手出しができないという感じは受けましたね。第一話の緻密な描写が影響しているのだと思います。グッドアイデア、サンキューです!