前のエピソード:
差し出された手をにぎり、短く自己紹介した。
「ソウマです、よろしくレナさん」
握られた手を引き寄せながら、反対の手には古びたラジカセを持つ少女、レナは言う。
「いいわ、面倒みてあげますね」
その言葉の意図に少々困惑しながら起き上がるソウマ。
体をはたきながら土埃を落とすソウマを見ていたレナは笑いを噛み殺している。
「プッ……ソウマ、後ろ後ろっっ……プププッ」
いや、全く噛み殺せていなかった。
レナに指差された先に視線をやると、ズボンのお尻部分に大きな穴が空いていた。
「あぁ、これは……恥ずかしいですね。プッ……」
終いにはあははははと声をあげて笑い出すふたり。
見兼ねたレナは背負っていた黄色いリュックからタオルを取り出しソウマに渡す。
ソウマはタオルを腰に巻き、尻出しルックの危機から無事脱出。ありがとうとレナに伝えてから、ネットワークに接続し、自身の“人形”に受けたダメージをコンマ二秒で確認し、ふと今日の予定を思い出した。
「そういえば、今日は友人と会う約束がありました」
「その格好で?」
あぁ、レナの言う通りだと、またしても笑い出すソウマにつられて微笑むレナ。
ふたりが打ち解けるのに時間はかからなかったようだ。
ボロボロになったシャツとズボン、耳からは煙を出し続けているソウマは、古びたラジカセを左手に持つレナに本日の予定変更の旨を伝える。
「レナさん、スムージーはお好きですか?」
第4話 敵だらけ
https://p.yondeke.com/story/2299
第3話執筆ありがとうございます!
第1話が素敵でした! めちゃめちゃ勉強になります!
なんか背中がむずむずするくらい面白い。。。これは嫉妬かもしれないですな。出だしを書いてくださった石嶋ユウさんとアイスちゃんに対する
桑原さんのコメディタッチめちゃ大好きです! お褒めに預かりめちゃめちゃ嬉しいです!