ソウマはいつも通りの時刻に目が覚めた。あくびをした後、首元につけている充電アダプターを取り外してベットから立ち上がった。
「今日は何があったんだっけ」
そう言ってソウマはネットワークにあるパーソナルアーカイブに接続した。自らのスケジュールメモリーを確認する。コンマ三秒後、確認が終わると彼は野菜のスムージを作る。
かなり先の未来、人工知能がシンギュラリティを迎え、彼らは自らを“意思”と呼び、体を求めて人間とほぼ同じ機能を持った入れ物である“人形”を設計し、実用化した。それから更に先の時代になると、ほぼ全ての“意思”が人形を使うようになっており人類と共に日常生活を送っていた。
ソウマもまた人形だった。彼は比較的最近生まれた意思で、人間に換算すると二十歳前後だった。
スムージを飲むとソウマは荷造りをして自宅を出た。この日、彼には友人と会う約束があったのだ。
街を歩いている。今日も人々は日常を送っている。歩いていると、向こうで人が集まっていた。どうやら何かあったらしい。寄って見てみるとそこでは高校生くらいの少女と、大柄の男が輪の真ん中にいた。
「お嬢さん、これどうしてくれるのかな」
男は地面に置いてある物を指さした。見てみるとそれは壊れたラジカセでどうやらこれを巡ってのいさかいの様だ。
「……」
少女は無言で怯えている。
「なんだよ。なんか言えよ 」
男は少女に殴りかかる素振りをした。見てられなくなったソウマは輪の真ん中に割り込んで男を止めることにした。
本人版第2話 ラジカセ
https://p.yondeke.com/story/2225
第2話 職業
https://p.yondeke.com/story/2212
よろしくおねがいします