第2話 飛鳥隊、配属

道化として生き・死んだ亡き父の教えを胸に、僕は国を守るために空を飛ぶ。


前のエピソード

 2×××年、春。

 十五歳の僕は、晴れて、防衛軍・飛鳥隊に配属になった。

 ピエロとしての才能を買われてのことである。

 無論、僕の父がかつて本物のピエロに会い、一緒に跳んでいたことは、内緒だ。

 我が国は三十年以上に渡って戦闘状態が続いており、空から陸から海から……いつ何時攻撃をけしかけられても対応できるよう、常に備えている。

 なかでも飛鳥隊は、特別だ。

 飛行センス、正確性、冷静さ、クレバーな判断力と、最前線で戦うために必要な全ての技能を求められる。

 そして何より重視されているのは、『いざというとき、ためらいなく道化になれるか』。

 あざわらわれても、罵られても、ピエロとして注意を引き、ピエロとしておとりになり、ピエロとして酔狂な戦術を取る。

 面接官の先生方は僕を『君は、いとも簡単に全てのプライドを投げ捨てられそうだ』と評した。

 そして僕はもちろん、『そんなものははなから持ち合わせておりません』と答えた。

――ピエロは笑わせる。ピエロは楽しませる。そして、ファニーなショーを披露する

 いまは亡き、父の教えだ。いつも胸に刻んでいる。

*

 晴れた日の朝。

 飛鳥隊宿舎脇のガレージで、僕は、愛機・クレイン号の羽づくろいをしていた。

「クレイン、気持ちいいか?」

 気持ちよさそうに首を伸ばし、滑らかな羽をわずかに震わせる。

 飛鳥隊は、その名の通り、鳥に乗って飛ぶ。

 大きめのゾウくらいのサイズ感の鳥の背中に、コックピットが取り付けられているのだ。

 羽づくろいをするときはこれが取り外せるので、リラックスしたクレインを見ることができ……戦闘員としては良くない考えかもしれないけれど、可愛いなと思う。

「おーい、ミツキ!」

 振り返ると、同期が手を振っていた。どうやら、朝食の時間らしい。

「じゃあね、クレイン。きょうは僕たちは飛ばない日だから。ゆっくりしていて」

 そっと頭をなで、宿舎へ戻ろうとした、その時。

――緊急招集、緊急招集

 けたたましいサイレンの音と、敷地内にいくつも設置された赤いランプが、異常事態を知らせていた。


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小野じゅん

ライトミステリーを書く人。花札廃人。和菓子を食べる職人。公募がメインですが、過去作はカクヨムに載せています。将来の夢はものしり博士です。
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