第3話 賭けに負けるふたり

共通の知人である篠崎和馬。彼に会えば答えは一発で出る。


前のエピソード:

 篠崎和馬。
 僕たちの共通の知人で、ハナ――どういうわけかいまは柳涼子を名乗っている――にいたっては大学の同級生である。

 僕らはこの不毛な状況を解決するため、昼を待って和馬の勤め先である郊外のショッピングモールへと赴いた。

「誰……あんたら?」

 思ってもみなかった言葉が和馬の口から発せられた。
 僕もハナも当然のように混乱している。

「な、なに言ってんだよ和馬……」

「そうよ。先週だってゼミの同窓会でいっしょだったじゃない!」

 それでも和馬の顔には困惑の色がありありと見て取れる。
 どうやら冗談や悪ふざけではなさそうだ。

「なにこれ、どっきり? おれのスマホの番号誰から聞いたの?」

 電話口でもかなりの押し問答だった。
 しかし実際に会えば事態が好転するはずだと思っていたのに。
 和馬の口調は困惑のそれから、次第にイラつきへと変じていった。

「こう見えて忙しいんすよ、おれ。昼休憩も無駄にできないからこれで」

「あ……」

「ちょ、まってよ篠崎くんっ」

 僕らの懇願もむなしく、和馬はショッピングモールの客の群れのなかへと姿を溶かしていった。

 残された僕らふたりの胸に去来したもの。
 それはさらなる混乱と、自らのアイデンティティの消失への恐怖だった。


このおはなしをシェアしませんか?

1 comment

感想をポチッ!(3つまで可)

萌え! 萌え!
0
萌え!
泣ける! 泣ける!
0
泣ける!
楽しい! 楽しい!
0
楽しい!
切ねぇ! 切ねぇ!
1
切ねぇ!
笑うわ! 笑うわ!
0
笑うわ!
好き! 好き!
1
好き!
怖すぎ! 怖すぎ!
0
怖すぎ!
神降臨! 神降臨!
0
神降臨!

『真野てん』のペンネームでをWeb小説を書いております。#Web小説 #文字書き #猫 #プラモデル #カクヨム #なろう #マグネッター #note #アニメ #漫画 #特撮 #声優 #predia #草組 #gtmv #超速GP その他雑多につぶやきます。
>
%d人のブロガーが「いいね」をつけました。