前のエピソード:
ふと何かを思い出したようなハルのしぐさに、僕は一挙一動を観察した。
目の前で突然着替え始めるハル。彼女の行動を凝視していた僕は意表を突かれ、目をそらした。
「ほら、やっぱ知らないんでしょ私のこと」
「ち、ちが」
違うと言いかけたが、言えなかった。
いつものハルだったらこんなことしないってだけなのに、なんで僕はこんなにもハルの下着姿に動揺しているのだろうか。
本当に彼女はハルではないのだろうか? それとも僕の知っているハルがそもそも──そもそも本当のハルじゃなかったのか?
そんなことを考えつつ、目のやり場のない僕は自分の足元をじっと見つめていたが、ハルの方をチラ見すると、着替えを終えたハルは何やら物騒なものを手にしていた。
「それってもしかして……」
「ご名答!」
ニコッと笑顔を見せたハルは、きょとんとしてる僕の首にそれを巻きつけた。
南京錠がガチャンと音を鳴らしたのを合図に、僕はようやく自分のおかれている立場に気がついた。
「そうそう、着替えている途中でね、思い出したよ」
そう言ってハルは僕の首に巻きつけた首輪の手綱をグイッと引っ張った。
「ちょ、ちょちょちょっと、なにす……」
クレームを言い終わる前に、ハルの唇で口止めされてしまった。僕の混乱は増すばかりだが、ハルは何やら勝ち誇った表情をしている。
なんだか嫌な予感がする。
「おすわり」
予感は一瞬で現実になった。
第3話 確信
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